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ゴールデン・ウィーク突入。 後半は家族サービスで動けなくなりそうなので、さっそく福島の里山に籠っていた。
桜をバックに里川の清流でフライロッドを振る。
まずは高瀬川支流の葛尾川。海にほど近い、なかなか人気の支流だ。東北の遅い春が、闌けていく。

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釣り人も多いがポイントごとにフライを投じると、素直で正確なヤマメの生体反応があった。

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14番のアダムス・パラシュートを流芯脇からドリフトさせてくると、25,6cmサイズの美しいヤマメが派手に飛び出してきた。
手にしたヤマメは、パーマークがくっきりと鮮やかだった。幅広で実にかっこいいヤマメだった。
しばらく釣り上がると、上流からルアーマンが二人下ってきたので竿を納めた。


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場所を変えて、本八幡のROCKSで教えてもらった支流に入った。クルマもなく、自分以外は入渓していないようだった。
澄み切った水に石の織りなす影は深い。立ちこむと水中の砂が舞い上がる。魚影が忍者のように足下から現われて、猛スピードで消えていく。

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遅咲きの山桜から花びらが舞う、素晴らしい小渓流だった。ヤマメには桜の花が良く似合う。

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笹が覆い被さったクリアな瀬尻。きっといる。たしかにいる。胸が締め付けられるような確信。

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2投目でパシャン!と飛び出た。側線には、一筆で剃ったような薄紅色が走る。正しく、清楚な姿だ。

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立て続けに水面を割った。今度のはなかなかのサイズ。

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吸い寄せられるように、どんどん遡上してみる。独り占めできるこの恍惚。釣り人の卑しさを感じつつ。

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瀬というには平坦でなめらかな流れから、ライズ!

落ち着いてラインを繰り出して、ゆっくりとロッドを振る。ひと呼吸置いて、ライズの波紋がほどけたあたりにそっとフライが水面に降りた。

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無邪気にパクついた、26cm。

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サイドキャストを繰り返し、あの奥へ、フライを送りだす。

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これまた26cm程度のいい感じのヤマメだった。このサイズになってくると、ローリングして走る。
(イワナは首を振るパワフルな走りをする)
ググンと引かれながら、ラインを手繰って優しい電撃とともに、魚とつながる。

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もうこれ以上は近づかずに、あの先の流れ出しからバブルラインに目がけて1キャスト。これは北海道で覚えた。

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期待以上に、その場所から飛び出してくれる。ヤマメ釣りは心が昂る。このすばしっこさ、それをフライで手なずける瞬間の充足感。

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午後3時。そろそろ川通しで下って退渓しよう。あの先の流れ出しを狙ってから。

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その流れ出しからも、この一尾。
まさか連休のまっさかりにこんなに美しいヤマメと出会える場所があるとは、思ってもみなかった。
しかも実家にほど近い阿武隈山系の川なのだ。

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アベレージは25cmのヤマメばかりの川だった。恐るべし、本八幡ROCKS!ありがとうございました。
春に輝く小渓流に軽い目眩のようなものを感じながら、白く丸い岩に腰を下ろして、コーヒーを煎れた。放心状態のまま心は雲一つなく穏やかだ。とびきり美しい生命を相手に戯れることができたから。

いま部屋で一人、あのヤマメたちのなまめかしさを反芻している。
日本の5月の渓にいた、宝石のようなヤマメ。福島の里山の正しい姿だと、心から思う。